3月20日、新宿区四谷にあるP3 art and environmentにて上映決定しました。
上映終了後には、酒井・濱口両監督と芹沢高志、
そしてスペシャルゲストによるトークも予定しています。
ゲストについての詳細は今しばらくお待ちください。
詳細はP3 art and environment まで
故郷って 何なんでしょうね。
3月20日、新宿区四谷にあるP3 art and environmentにて上映決定しました。
上映終了後には、酒井・濱口両監督と芹沢高志、
そしてスペシャルゲストによるトークも予定しています。
ゲストについての詳細は今しばらくお待ちください。
詳細はP3 art and environment まで
今作品は2011年3月11日の津波被害を受けた三陸沿岸部に暮らす人々の「対話」を撮り続けたドキュメンタリー映像です。姉妹、夫婦、消防団仲間など親しいもの同士が、震災について見つめ合い語り合う“口承記録”の形がとられています。互いに向き合い対話する事は震災そのものに向き合うことでもあるのかもしれないと考え、被災地の悲惨な映像ではなく、対話から生成される人々の「感情」を映像に残すことで、後世に震災の記憶を伝えようと試みました。撮影を進める中で2人の監督も互いに対話を重ね、震災を自らに関わる出来事として受け止める姿勢をより強くしていきました。
『PASSION』『The Depths』などで注目される濱口竜介が、『ホームスイートホーム』『CREEP』を手掛けた酒井耕と共同で監督。142分の最新版での上映となります。
「この“語り”は、実際は過去や未来のためという以上に、今まさに起こっている「復興」の活動そのものなのではないだろうか、という気がしています。それは、瓦礫をただの瓦礫にしないための、個人と共同体の歴史を取り返す作業であるからなのです。」(山形国際ドキュメンタリー映画祭・東日本大震災復興支援上映プロジェクト「Cinema with Us ともにある」カタログより 作者のことば)
岩手県田老町の女性によって読まれる昭和8年3月3日の大津波の紙芝居にはじまり、気仙沼、南三陸、石巻、東松島、新地町と南下しながら、消防団員や市議会議員、夫婦や姉妹など、親しい者同士や監督との対話が行われる。津波の恐ろしさや悲惨さと復興への強い思いが混在したその声は、鑑賞者も含めた聞き手の存在によってこそ生まれる貴重なものであり、100年、200年先まで伝えるべき価値を宿している。
移動の間に朗読される昭和8年津波被害を記録した山口弥一郎のテクスト、冒頭の紙芝居、土地の風景や音とともに、幾度も津波に襲われた歴史をもつ三陸の姿とそれでもそこに住み続ける人々の意志とが描かれ、故郷とは何かという問いが自ずと発生する。土地の記憶を切断してしまった出来事を、語り継ぐ言葉のひとつひとつがその答えなのかもしれない。
戦争後の映画はネオリアリスモ的に焼け野原を撮ったわけだけど、今回の震災では、「東京は日常である」という状況がある。この震災をなかったことにしようとしている”日常力”が働いているというか。日常ってこんなに強いのかと思わされた。これは日本だけなのかどうかわからないけど、日本全体が非日常性を押し込めたりする傾向が強いですよね。「昨日」と「今日」を同じにしようとする力がすごい。(濱口)
…昨日と今日を同じにはできないのでは?と当然なると思っていたのに、社会全体はまるで昨日と今日は何も変わっていない、と言おうとしている雰囲気が何となしにある。(濱口)
「なみのおと」の撮影で被災者の話しを聞く際、はじめは少しビビりながら聞いていた気がします。でも、むしろ被災者の方から歩み寄ってきてくれ、行く先の不安みたいなものを逆に救ってくれた。聞いていいんだって。だから、震災後にも世界はつながっていてそれも日常だったように、他者とのコミュニケーションの失敗の先にも、別のコミュニケーションの可能性が開かれているんじゃないかと思えた。
…それは、日常が昨日と同じ今日を望むだけでなく、今日と違う明日と契約関係を結ぶことにつながるかもしれない。
(酒井)
出典:せんだいメディアテーク機関誌 ミルフイユ4 mille feuille4 赤々舎
『なみのおと』では、東日本大震災の被災地の中でも、特に津波被害に遭われた岩手県から福島県の沿岸部で暮らす方々に、震災発生当時のことを中心に語っていただきました。今回我々が写した”語り”は被災の記録として、もちろん次代へのメッセージ、警鐘にもなるものです。しかし、この記録は、「そこで起きたことはいったい、何だったのか」を示すとともに、「そこにはいったい、誰がいたのか」を確かめるためのものでもあります。記録されたこの「語り」は、過去や未来を映すための手段というより、今まさに起こっている「復興」の活動そのものに思えます。それは、瓦礫をただの瓦礫にしないための、更地をただの更地にしないための、記憶を取り返すためのいとなみであるからです。
もう聞くことのできない声があります。それでもその声を聴くために、見ることのできない風景を視るために、彼らの語りに耳を澄ますところから、私たちは始めたいと思っています。
(酒井耕/濱口竜介)
地域 | 劇場名 | 主催 | 公開日 |
---|---|---|---|
東京 | P3 art and environment | P3 art and environment | 2015年3月20日 |
神奈川 | シェアリーカフェ | 特定非営利活動法人I Loveつづき | 2015年1月24日 |
宮城 | せんだいメディアテーク | 対話の可能性「記録と想起」展 | 2014年12月20日 |
東京 | K’sシネマ | シネマトリックス | 2014年11月20日 |
福岡 | 福岡県立美術館 | 福岡県立美術館 | 2014年10月25日 |
京都 | Art Space 寄す処 | Art Space 寄す処 | 2014年10月11日 |
福岡 | 築上町文化会館コマーレ | 築上町男女共同参画ネット | 2014年6月15日 |
長野 | 松本市中央公民館 | 松本CINEMAセレクト | 2014年4月11日 |
群馬 | ギャラリーコアホール | 高崎映画祭 | 2014年4月2日・3日 |
東京 | アーツ千代田3331 | 311映画祭 | 2014年3月10日・29日 |
沖縄 | 沖縄振興開発金融公庫 | 個人 | 2014年3月25日 |
静岡 | 鴨江アートセンター | NPO法人クリエイティブサポートレッツ | 2014年3月3日 |
岡山 | cafe moyau | よるのふね | 2014年3月2日 |
岡山 | やっち | よるのふね | 2014年2月22日 |
埼玉 | ポエトリーカフェ武甲書店 | 個人 | 2014年2月22日 |
兵庫県 | SPACE233 | 個人 | 2014年2月20日 |
福岡 | クローバーホール | きりん文庫かすが | 2014年1月29日 |
三軒茶屋 | ふろむあーすカフェおはな | にっしぃ劇場 | 2014年1月11日 |
渋谷 | 渋谷アップリンク | 2013年11月16日~ | |
東京 | オーディトリウム渋谷 | 2013年11月9日~ |
真正面に据えられたカメラによって、家族が、友人たちが、同僚たちが、語り手と聞き手が、それぞれの声と顔を持ったひとりの人間へと分割されていく。それが感動的なのは、そこで「他の誰でもないその人そのもの」が映しだされるからではない。そうではなく、対話相手との間合いや呼吸が、彼らの関係性が、ひとつの顔の中に描きこまれていくからなのだ。パーソナルな物語を語る彼らの声と顔ひとつひとつに、歴史や約束、愛といったソーシャルなものが既に織り込まれているからなのだ。
結城秀勇(ゆうきひでたけ)映画批評/雑誌「nobody」編集部
同誌24号から36号まで編集長。共編著に「映画空間400選」(LIXIL出版)